一息つくことの大事さ
仕事も生活もとても忙しくなるときがあります。バタバタとなんだか落ち着かない日々。そんな時、ほっと一息つきたいものです。力を抜いてもう一度バランスを取り戻したい。
もう15年も前ですが、初めてのソファーを設計しました。しっかりとしたソファーにしたくて、木のフレームに堅めのクッションを乗せました。今でも使っていますし、こういう味付けを好む方も多いです。でも、あるとき羽毛でできたフワフワクッションのソファーに座ってしまいました。包み込まれるようなその感触・・疲れた体に優しいわー、ホッとするー・・
その時に「フワフワなソファー・・こういう優しさもいいな。いつか作ろう!」と思いました。
優しさにも色々な形があります。揺るがない厳しい優しさもありますが、すべてをフワッと包み込む優しさもありがたいものです。
ソファーの設計方針は変わりません。
1.「お昼寝ができるサイズ」 ソファーには2人掛け、3人掛けというものがありますが、住宅事情とお昼寝を思うと2.5人掛けという大きさになります。
2.肘掛けは幅を持たせて、マグカップなどをちょっと乗せておけるくらいに。
3.座面高は低くして、ゆったりと座れるように。また床面に近いので、大勢の集まりで床座の方がいても違和感がありません。
そして、今回はフワフワのクッションにすること。
フレームには剛性と見た目の軽さを両立できる金属、ステンレスを使います。体が触れるところは無垢材で、質感のある仕上がりを目指します。いつものWork Around Tableのスタイルです。
試作をしたのは2012年でした。それから4年使ってみました。いくつかの設計変更をして仕上げました。
フレームの設計
ソファーの置き方、置く場所を思って
ソファーもまた欧米のインテリアから借りてきた家具ですから、デザインもそれを踏襲するというのが一般的です。でも、日本の間取り、部屋の広さ、使い方に合っているのかというと、さてどうでしょう。ここはよく考えてみたいところです。
ソファーはダイニングと同様でとても大きな家具です。部屋に占める割合が大きく、どこに置くか、どの向きに置くかが悩みだったりします。
リビング、ダイニング、それに続く和室などに家具を配置する時、まずは大きさのあるダイニングとソファーの場所を決めると思います。その時、もしソファーの裏側が十分に魅力的であれば、どの向きに置いても大丈夫。つまりレイアウトの自由度が増します。その意味でも裏側の仕上がりは大事だと考えています。
ソファーの背を壁に付けて使うことはよくありますが、場合によってはダイニングとリビングの視覚的な間仕切りとして、敢えて背をダイニングの方に向けて使うのも面白いと思います。今までと違う部屋のレイアウトができるかもしれません。
ミナトソファーの背板にはナラの無垢材を使い、支柱としてステンレスを組み合わせています。表も裏もちゃんと仕上げてあります。そして背のクッションなしでも使えるよう設計しました。夏にはより涼しげな感じで使えます。また座面の奥行きが増すのであぐらをかいて座ったりと使い勝手も広がります。
もう1点、ミナトソファーは和室にも合います。脚をソリのようにしてありますので畳も痛みにくいです。
「レイアウトの自由度が高く、使い勝手にも変化が出せるソファー」という提案になります。でも、お昼寝ができることがやっぱり大事・・ですね。
フワフワクッションにしたい
ふわっと、しっとり、さらさら
ふわっとは羽毛によるものです。羽毛は上質なクッションの証として長く使われてきました。ただ、高価なこととクッションがつぶれやすいことから近年はあまり使われません。クッションの制作をお願いしているこの道50年の椅子張り職人さんから聞いた話しです。
「羽毛使わなくなったね-、羽毛のクッションをウレタンに変えてほしいというお客さんばっかりだよ。羽毛を使うのはほんと久し振りだね。」
あのフワフワは羽毛でないと出せないんです。ただ、つぶれやすいのはちょっと困りもの。そこで羽毛とウレタンのハイブリッドにします。まず羽毛でクッションを二つ作り、そのクッションの間にウレタンのシートを挟んで大きな三層構造のクッションにします。三層の配合は職人さんと色々と試し、ちょうどいい具合になりました。これで羽毛のフワフワとウレタンの復元力のよさを活かしたクッションの完成です。
座り始めにフワッと包み込まれます。そしてしっとりと落ち着いた感じで納まります。
クッションの表地は倉敷帆布製です。糸から染めてある特別な生地です。厚手の生地に洗い加工を施して柔らかく仕上げました。肌触りがいいです。さらさらです。表地は「墨色」なのですが、墨というよりは濃紺に近いです。汚れを気にせず使ってもらえると思います。クッションカバーなのでお洗濯もできます。表地には生成り色もあります。また本革張りもありますが、こちらはご相談ください。
羽毛のクッションは座っている内に少しつぶれてきます。たまにポンポンとたたいて空気を入れてあげます。そうするとすぐふっくらします。お客様が来る前にポンポンしてください。きっとこのフワッとを喜んでくれますよ。
しっかりとした構造、やさしい座り心地
上質な素材の組み合わせ
ソファーは大人二人で、あるいはそれ以上で使います。しっかりとした構造でないとなりません。その上で質感のある、やさしい座り心地を目指しました。
ミナトソファーには無垢ナラ材、ステンレス、帆布、羽毛のクッションといくつもの素材を組み合わせました。納得のいく「質感」と「作り」を目指して仕上げました。贅沢な作りです。でも、「どうしてもこうしたい」という思いを形にしました。そして、これは同じく思いのある職方、多くの方々との出会いがあってこそできたものです。幸せなソファーだと思います。
ミナトソファーは展示品がありませんのでご覧になれません。当面webサイトでのご紹介という形になります。申し訳ありません。
Minato Sofa
本体:ナラ柾目材+ステンレス
クッション:帆布 羽毛(フェザー) ウレタン
価格:730,000円 (税込み:803,000円)
サイズ:W172×D85XH71cm SH35cm
仕上げ:オイル
2020/9/28 材料事情により家具の受注を当面控えます。
詳しくはNewsで
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