育てていく、天板。
日々のお手入れ方法を紹介します。お手入れを続けていただくことでオイル仕上げされた天板は育っていきます。少し手をかけてあげることでよりパーソナルな道具になっていきます。折角の無垢の天板です。お手入れも合わせて楽しんでください。
お手入れ用のワックスと必要な物をまとめたお得なキットも用意しました。お試しください。
無垢の天板、使い方のポイント。
オイル仕上げの特質
オイル仕上げは素材感を活かす仕上げで、一般に使われるウレタンなどの樹脂塗装とは性質が違います。表面に樹脂の膜を張りませんのでシミなどがつきやすいですが、その替わりに補修や再塗装がしやすいのです。ウレタンなどの樹脂塗装はその反対にシミはつきにくいのですが補修や再塗装は大変な作業となりますし、家庭ではできません。
一長一短ありますのでどちらを選ぶかは考え方ということになります。Work Around Tableでは素材感を大切にモノ作りしていきたいと思っていますので木部にはオイル仕上げを選んでいます。お手入れは必要ですが、お使いになったときにその違いを感じていただけると思います。また、年月が経ったときの風合いは樹脂塗装品にはないものです。
使い方のポイント
天板を使う上でのポイントはコースターやランチョンマットを使いますと、輪じみや汚れを防げます。これもまた考え方ですが、コースターやランチョンマットは色々なデザインの物があり、食卓を華やかにしてくれます。積極的に使ってコーディネイトを楽しむのはいかがでしょうか。
ワイン、お醤油などの色の付く物をこぼした場合は速やかに拭き取ってください。赤ワインなどで跡が残ってしまったら「目立つ汚れの取り方」を参考にお手入れしていただければきれいになります。
個人的にはコースターは使いますが、それ以上に気は使っていません。ある程度の汚れや傷も味わいの内と思っています。また、以下に紹介する方法で汚れは落ちますので日々気兼ねなく使いたい方は汚れてからお手入れする考え方でも良いと思います。
ステンレス部分はお手入れはいりませんが、手の汚れが付くことがあります。ステンレス材に使える家庭用の洗剤をキッチンペーパーなどにつけて汚れを拭いてください。その際ですが、家庭用の洗剤の中には木部にシミを残す物がありますので木部にはかからないよう注意してください。
お手入れにはワックス、サンドペーパー、サンドペーパー用のブロック、ウェスが必要です。ホームセンターなどで同様のものを見つけていただいても構いませんが、ワックスはキットに同梱されているものあるいはそれと同等のものをお薦めします。
キット内容
1.ワックス 「未晒し蜜ロウワックス 100ml」
天然の蜜ロウとエゴマ油のみを混合した木部仕上げ用のワックスです。作るのに手間のかかる原料を使っていますから仕上げ材としては高価な物ですが、安心できる製品ですので使っています。国内で作られており、溶剤を入れていませんのでお子様が使っても安心です。
2.サンドペーパー
240番、600番、1000番 各1枚
A4サイズ程度の大きさのあるものですが、6等分して小さく使います。
3.ペーパー用のサンディングブロック
ペーパーをかけやすくすると共に、ある程度の平面を保持します。240番をかける際は必要です。
4.ウェス
ワックス拭き取り用の布などです。着古した木綿のTシャツを裂いて使っても構いません。キットには不織布のウェスを3枚入れました。
お手入れキット
(只今販売を見合わせております。)
お手入れに必要な物をまとめました。
お得なオリジナルキットです。
価格: 1,800円 (税込み1,890円)
ご注文方法はこちらでご確認ください。→
梱包送料について→
日常のお手入れ
お手入れは2ヶ月に1度で十分です。特に汚れがなく、表面も乾いた感じがしなければそのままお使いいただいても構いません。
台ふきんをよくかける方や大勢のお客様が集まるパーティーなどがあるときは適宜お手入れをしたらよいかと思います。台ふきんをよくかけますと表面のオイル分が切れてきますのでワックスで補ってあげてください。また、パーティーなどがあるときは前日などにワックスをかけておくと水はじきがよく、飲み物などをこぼしてもシミになりにくいのでお薦めのお手入れタイミングです。
ワックスをかける作業は10~15分程度の簡単なものです。コツをつかむとササッとできますし、つややかな天板はとても気持ち良いものです。ご飯もおいしくなります。
天板を固く絞った台ふきんで拭いてください。
1000番のサンドペーパーを用意します。サンドペーパーの番手は裏面に数字で書いてあります。数字が大きいほど目が細かくなります。サンドペーパーを切り分けるときはまず折り目をキッチリと付け、裏面に定規を当てて切ります。A4サイズを6等分。長手から3等分して細長い短冊にして、それを半分します。
切り分けたサンドペーパーを1枚用意して、半分に折って使います。こうするとサンドペーパーが手に馴染み作業がしやすいです。
サンドペーパーをかけるときは必ず木目に沿ってかけるようにします。木目は天板の長手方向に平行に走っています。木目に対して斜めや直角にサンドペーパーをかけてしまうと後で擦り傷が目立ち、きれいに仕上がりませんので注意してください。サンドペーパーは前後に丁寧に動かし左右に擦ってはいけません。前後に動かしながら少しずつ横移動するのは構いません。
1000番をかけるときはまったく力はいりません。天板表面をなでるように全体にサラッとかけます。使っている内に出てくる表面のけば立ちと軽い汚れを取るためですからこれで十分です。途中でサンドペーパーの上下を返して両面使って下さい。2~3分の作業です。
天板は複数枚の材をつなぎ合わせて1枚の大きな板にしてあります。使っている内に木が伸び縮みを繰り返し、つなぎ目にわずかな段差が出てくることがあります。指で触ってやっとわかる程度の段差です。もしこれが気になるようでしたらつなぎ目に少し長めにサンドペーパーをかけてください。
缶の開け方
小さいスプーンの柄を使って開けます。フタのヘリに斜めから柄の先を入れてスプーンを回転させるようにするとフタの変形を押さえながら開けることができます。
使用量
小さいスプーン1杯で十分です。これで天板1枚にワックスをかけることができます。
キット内のワックスは100ml入りですので10回程度作業ができます。
ワックスの塗り方
1/4程度に切ったウェスを4つに折っておき、その端にワックスを置きます。ワックスを包み込むようにウェスを折りたたみ、ウェスを通してワックスがしみ出すようにして天板に塗りつけます。天板に直接ワックスを乗せてしまうとうまく全面に伸ばすことができません。ワックスはできるだけ薄く塗るのがコツです。
ワックスを塗るときは少し力を入れてください。摩擦でワックスがとけ、より伸びやすくなります。ウェスは前後左右、あるいは螺旋状にクルクルと動かしてもらって構いません。塗りやすい方向に、塗り残しの箇所がないよう、全体に伸ばすようにかけていきます。
ワックスの拭き取り
ワックスをかけ終わったらすぐに拭き取りをします。間をおくと拭き取りにくくなりますので注意してください。新しいウェスを折りたたみ、少し力を入れてゴシゴシと磨く感じで拭き取ります。
ウェスの始末
ワックスの付いたウェスには気をつけましょう。エゴマ油などの植物油は自然乾燥する際に熱を持つ性質があります。放置しますと発火のおそれもありますので使用後のウェスは必ず水にひたしてポリ袋などに入れ、ゴミとしてください。
乾燥工程
キットのワックスは拭き取りが済めばほぼ乾いていますが、できれば半日乾燥期間を設けてください。例えば夕食後にサッと作業しておきますと、翌朝から気持ちよく使えます。
目立つ汚れがあるときのお手入れ方法
ワインや醤油などのシミ、濡れたコップなどの輪ジミが残ってしまって目立つようでしたら次のお手入れを試してください。日常のお手入れの手順とそれほど変わりません。少しホコリが出ますので窓をあけて作業してください。
天板を固く絞った台ふきんで拭いてください。
もし食器などが当たった小さな凹み傷がありましたら、水滴をおとして木をふくらませてみてください。15分ほどそのまま置いてください。凹みが目立たなくなることがあります。
240番のサンドペーパーを6等分して用意します。サンドペーパーはブロックの左右に巻き上げるようにして使います。
コップなどの輪ジミを取る場合、
輪ジミの箇所にサンドペーパーをかけてください。木目に沿うようにかけることを忘れないでください。サンドペーパーは木目に沿って前後に動かし、左右に擦ってはいけません。力はいりませんが、前後にきれいに動かしてあげるのがコツです。また、このときシミのあるところだけかけてしまうとそこが凹んでしまいます。ですからサンドペーパーはやや広くかけます。シミから半径10cm程度を同じようにかけてください。次は全体の調整です。
色の付いたシミなどを落とす場合、
残ってしまったワインやお醤油のシミには固形石けんで作る石けん水が有効です。汚れた箇所に適量水をかけ、石けんを天板にこすりつけるようにすると濃い石けん水ができます。スポンジなどでこすり汚れ落としをしてください。この作業でほとんどの汚れは落ちます。残った石けん水は台ふきんなどで拭き取ってください。
上の作業が終わり、もし、しみ込んだ汚れがあるようなら、少し表面を乾かしてから輪ジミ取りの方法と同様にサンドペーパーをかけます。作業が済んだら一度水で表面を濡らして見てください。汚れが取れていれば周りと見分けがつかないはずです。もし、まだ汚れがわかるようでしたらもう一度石けん水を使って、その後サンドペーパーをかけてください。作業は2度までにして、あまり表面を削ってしまわないようにしてください。次に全体の調整をしてください。
全体の調整
汚れのある箇所とその周辺だけにサンドペーパーをかけ、ワックスで仕上げてしまうと他の箇所との仕上がりに差が出ます。また、シミ落としの作業などをしますと表面にけば立ちがおきます。新しい240番のサンドペーパーに替えて天板全体が少し白っぽくなるようにかけます。全体に丁寧にかけますと10分程度かかります。
下地研きの工程
240番は少し粗めのサンドペーパーです。天板をよりなめらかに仕上げるために目の細かいサンドペーパーで磨いておきます。600番のサンドペーパーを用意して天板全体にかけます。これも力はいりません。軽く丁寧にかけてください。
ワックスをかける。
日常のお手入れと同じようにワックスをかけます。表面をほんの少しですが、削っていますのでワックスも気持ち多めにかけておきます。天板全体が少し濡れた感じになるようにします。ワックスはよく拭き取り、ウェスの後始末も忘れないでください。
お疲れ様でした!
ちょっと汚れた天板でもそのまま使っていて構いません。長く使いますと傷も付きますし、落ちない汚れが付くこともあります。それはそれで味わいなのです。無垢の天板だからこそ楽しめる風合いといえばいいかもしれません。ですから神経質にならず「そろそろきっちり磨いてあげようかな」と思ったときに作業してみてください。自然からいただいた材料です。おおらかな気持ちでお付き合いください。
お手入れを続け、長くお付き合いいただけますと、無垢の天板の本当の良さを感じてもらえると思います。植木にお水をあげるような感じでたまにかまってあげてください。よろしくお願いします。