TOPICS / WORK AROUND TABLE

「大切を考える。丁寧に作る。」

Topics 作り方、考え方 家具 ダイニングテーブル

モノの作り方は色々とあります。デザインの仕方も色々あります。
僕たちは「こうだったらいいなあ、こんなものがあったらいいなあ」を気負わないで、まじめに作っていきたい。

すべては日々考えていること、気になっていることから始まります。生活のこと、材料のこと、作り方のこと、たくさんのことの中で何を大切にしたいのか良く考えてみたい。

作り方は色々とあるけれど僕たちが選ぶのは丁寧に作ること。ずっと前からモノ作りがそうであったように、同じようでありたいと思います。

Work Around Tableにまつわる日々のことを書いておこうと思います。


椅子パーツ カンナ

座卓/酒卓 模型 図面

家具の作り方

家具、あるいは生活の道具を作るとき、その作り方には色々な選択肢があると思います。「早く安く」というのは合理的な考え方で今ある一般の量産品はそのように作られます。一方で昔ながらの作り方というのもあり、そこでも「早く」というのは厳しく言われますが、「安く」は「無駄のないように」というニュアンスになるかもしれません。職人は「早く無駄なく」作ることを求められます。さらに工芸品では手間を惜しまない作り方が大事ですから「早く無駄なく」という考えは基本にあっても長い時間をかけて作ります。

上質なものというのは長く使えます。たぶん使う人が大事にするのでしょうし、そういう気持ちにさせてもらえるというのもあるでしょう。長く使えればなんでもいいというつもりはないけれど長く使うと愛着も湧き、道具と自分の間に何かが生まれるのは確かなこと。気持ちのいい関係だし、この感覚は大事にしたいなと思う。
なかでも家具は特に長持ち。30年40年はごく普通で100年くらい昔の物もよく見かける。これだけ長く使ってもらえる道具だとしたら自分はどう作るべきなのか?どのような選択肢を選ぶのか?やっぱり考えておかないと・・

う~ん、僕の答えは「丁寧に作る」かな。

自分の場合は「早く無駄なく」は意識しているけれど、実際は「ゆっくり無駄いっぱい」をしているかもしれない。職人とも作家とも違う作り方だから自分なりの考え方で作ることになる。「ゆっくり無駄いっぱい」はよく考え、確かめながら作っている結果で、自然とそうなってしまう。デザインを起こすときは必ず模型をいくつか作るし、図面も相当数描く、それから必要なときは実寸のモックアップ(簡易試作品)を作る。時間のかかることばかりだけれどひとつずつ確かめながら進める方が良いと思っている。

Norito Tableのデザインにも時間をかけました。二人でじっくり検討して、ちょうど1年かけました。やっと形になり、これから1台ずつ作っていくことになります。

こんなペースでいいのかしら? と思うこともあるけれど、これでしか作れないものがあるのを知っているので別の道を選ぶのは難しい。これからも丁寧に作っていきたいと思います。


橋本裕 工房 無垢材 カンナ

椅子座面 無垢材 カンナ

カンナという道具

カンナを使わない人が増えた。工房で家具を作っている人でも合理的でないと考えるようだ。確かに毎日のように使っていないと機能してくれないし、湿度の変化などで調子が狂う。手間のかかる道具ではある。

僕はそれでも使おうと思う。理由はいくつかある。
まずはカンナでないとできない作業があるから、次にゆるい曲線のある形はカンナを使った方がきれいな線、自分のほしい線がでるから、そしてもうひとつ。たぶんこれが一番かもしれない。カンナを使って作業することでいつも緊張して作業ができる。細かいところまで目が届くからだろう。

少しだけ詳しく言えば、カンナでないとできないこととは例えば引き出しを合わせる作業。引き出しは箱の中に箱を入れることなのだけど、それぞれを真四角には作れない。だからほんの少しだけ引き出しを大きく作って少しずつ削りながら相手に合わせることになる。紙一枚とかその半分の厚みで調整するにはカンナを使うのが合理的。

ゆるい曲線のあるものを作るとき、荒く形を出すときは機械にかけるが、最後の形に近づくと少しずつ削って様子を見たい。サンダーという切削道具はあるが、どうにもスピードが速すぎる。ここでもまたほんのちょっとを削りたいからカンナの出番。またカンナの台は定規の役目をするので曲線のつながりもきれいに出る。内側に向く曲線は他の道具ではなかなかきれいな線にならない。曲面を削るカンナは筆みたいなもので自分のイメージした曲線を描くことができる。その意味でも他の道具ではうまくない。

さて、実はこの2つは作業の仕方だから逃げがある。カンナを使わない作り方もあるし、それでちゃんと仕事もできるようだ。

でも、最後のひとつはどうだろう?

逃げの方法では本当に細かいところの作業はできない。紙一枚の厚みをどうするかという作業をしなくなると結局細かいところは見えなくなってしまうのではないだろうか。作業に対する緊張感も変わっていくかもしれない。そしてそれは全体の作り、仕上がりに影響すると思う。大きなものでも小さいところの積み重ねでできているのだから。

カンナに限らず長く使われた道具にはちゃんと理由があり意味がある。楽で便利な道具ではないかもしれない、いやむしろ手間のかかる道具だからこそ教わるものがある。変えない方が良いものもある。僕はいつもそれを感じていたいから使い続けていこうと思っている。また、単純にカンナという道具、カンナがけの作業が好きなのだと思う。だからずっと使っていきたい。

不思議と心惹かれる道具なのです。


ウクレレ ハワイメイド

K邸 キッチン キャビネット

A邸 ソファー

道具の価値

作っている家具は楽器に似ているなと思うことがある。それは基本の作り方や考え方が昔と変わらない、あるいは変えないでいるから。

ある時ウクレレがほしくなって1つ買いました。初めてのウクレレは国産の量産品。マホガニーを使ったものでお気に入りだが、1年くらい弾き続けたら欲が出てきた。そんな時に楽器屋さんでハワイメイドのウクレレに出会った。とにかく木目と音色がきれいだった。一目惚れしてしまい、手に入れた。少し調べてみると現地の若い作家さんが作っているウクレレだった。いつか本人に会ってもう一つお願いしたいなと思う。

ウクレレも色々とある。1万円くらいから上はきりがない。ビンテージと言われるものがあるからほしい人ならいくらでもということでしょうか。ただ現役の作家さんの作るものなら5万円から50万円くらい。楽器を弾くには腕がいるからその価値は腕次第かもしれません。25万でも、弾き比べる腕があれば違いがわかるしリーズナブルだと思えるでしょう。もちろん僕にはその腕がなく、ただ憧れるだけですが同じモノ作りとしてその価値は理解しているつもり。

さて、家具の場合。注文で家具製作を依頼されるときお客様はいくらくらいにしたらいいのかわからないと言います。使う場所を見せていただいて使い方を伺ってからデザイン、設計をします。打ち合わせの際に大まかな予算の話しをしますが、キャビネットのように手間のかかるものは40~60万円くらいになります。そういえば学習机を依頼されたとき28万円になったことがあります。結構な金額ですが、これはデスクの上によくある本棚のようなものをつけたいというご要望に応えたためです。デスク本体は17万円でした。もちろん子供用というつもりではなく大人の使うデスクとして作りました。

子供の頃に使うデスクを学習机とは言いますが、家具は長持ちです。30~40年はごく普通に持ちますから一時期の目的のために家具を作るのはどうなんでしょう? また、子供用という考え方では、ある時期を過ぎれば無用のものとなり捨てることになるでしょう。それは思い出も一緒に捨てるような気がして寂しいものです。僕はこどもの頃から使ったものだからこそ、大人になったときにも使えるようにしたいと思っています。そして、これは長持ちする家具だからこそできることなのです。思い出の大切さというのは大人になった時に初めてわかるものではないでしょうか。デスクについた傷などを見てふと思い出すことがあって子供の頃にスッと戻る・・ほっとして気持ちが安らぐことも。

とはいえ、注文しようと決めても家具単体で40万、50万という話しになれば予想していない金額かもしれません。そこでお客様にお話しするのは使う年月とその意味についてです。今どき日常品で30~40年使う物がどれほどあるでしょうか。もちろんもっと長く使えますが、車や家電製品では考えない時間の長さでしょう。価格だけで単純比較するならテレビはどうでしょう。15万円のテレビを15年使うのと40万円の家具を40年使うのは同じことです。1年1万円ですから、1日でいえば27円ほど。ここまで計算してしまうと毎日なんとなく消費している物と比べても安い方かもしれません。毎日使い、長く使う物はそれを使う年月も考えると冷静な判断ができるのではないでしょうか。

また、テレビと家具の違いはテレビは15年で消費されてしまうものですが、家具は40年経ったときその分の思い出と共に価値あるもの、代え難いものになっているということです。そしてそれを受け継いでいけるのです。そういう意味では消費しているというよりも育てているのかもしれません。家族で使っていたテーブルをお子さんが新たな家族で使うこと。もしかするとその先もあるかもしれません。これはとても素敵なことだと思います。

長持ちする意味とその本当の良さとは思い出と共にあり、それを受け継げることにあると思います。しっかりと作られた家具や道具には作り手が考え、あつらえた物としての価値と共に使い手が日々使うことで生まれてくる価値の両方が入っていると思います。


ノリト・テーブル ハンバーガー

思い出の食べ物

思い出の食べ物が2つあってひとつはピザでもう一つはハンバーガー。

子供の頃の外食の思い出だけれどそれぞれ特別な思いがある。とにかくすごぶるうまかった。ピザはアンジェロというおじさんが石釜で焼いていた。大きな木のしゃもじのような物で器用にピザを釜に入れたり出したりする様子が好きだった。今でもその味を覚えているし、ずっと同じ味を探しているように思う。

ハンバーガーはファーストフードのものではなくちゃんとしたハンバーガー。子供の頃のご馳走のひとつだった。脇についてくるフレンチフライとケチャップの味も忘れられない。大人になってからも渡米しているときに友人宅でよく食べた。肉をこねたりの準備は手伝ったが焼きはいつもお任せした。経験がものをいうから友人に仕上げてもらった。彼らのハンバーガーに対する情熱はやっぱりすごい。本当においしかった。でも、最近まったくハンバーガーを食べてなかった。

そんなある日、大治家でハンバーガーをご馳走になった。幸子さんがパンから焼いてくれた完全なホームメイド・ハンバーガーだ。正直、これは初めてだ。心の準備ができていなかったからとまどった。完璧なハンバーガーを目の前に置かれてちょっと手が付けられない。写真を撮ってちょっと間をおかないと・・懐かしいような不思議な光景が次々と頭をよぎった。

食い意地が張っているからだけど、思い出は食べ物にまつわるものが多い。そして子供の頃に食べたうまいものは一生忘れない。思い出の食べ物に出会う度に小さな幸せを感じる。もちろん覚えてはいないけれど、おいしい物の背景には家具や小物があったはず。椅子やテーブル、お皿やスプーン。今はその背景を作るのが僕たちの仕事。

おいしいハンバーガーの背景になれて幸せです。


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